脱・約束手形! | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

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脱・約束手形!

脱・約束手形!

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

皆さんは約束手形を使ったことはありますか?

約束手形とは、「振出人が、その受取人や差出人に対して、一定の金額の支払いを約束する手形のこと」です。

取引があったときにすぐ支払いするのではなく、手形に記載された期日にお金を支払うための約束をするときに使うものです。

いわゆる「ツケ」のようなものですね!

そんな約束手形、明治時代から日本ではかなり使われてきたメジャーな手形なのですが、

先日政府より2026年には廃止の方向で検討する」という知らせがありました。

いったいなぜなのか。

今回はそんな「約束手形」について迫っていきたいと思います!

なぜ廃止されるのか

中小企業庁が発表した 「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書」 によると、 廃止の理由として大きく2つの点が挙げられています。

1つは「資金繰りの負担」

もう1つは「紙による管理リスク」です。

1つずつみていきましょう。

出典: 「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書」

資金繰りの負担

冒頭でも説明した通り、約束手形は期日を遅らせて支払いを行うためのものです。

約束手形を振り出す側としては、自分が現状支払えない金額の取引でも実行することが可能なため非常に便利な手形です。

一方受け取り側としては、本来ならば存在するはずの現金が手形という形で渡されるため、取引が発生してから支払いの期日までお金を受け取ることができません。

つまり、本来ならば事業投資や費用の割り当てなどに利用できるはずのお金が存在しないため、資金繰りが難しくなり、かなりの負担を抱える可能性があります。

手形の受け取り側に資金的な余裕があればよいのですが、余裕のない場合は約束手形の存在は負担となります。

経済産業省でも、「約束手形による下請事業者の負担」について説明されています。

参考サイト:【60秒解説】え? まだ手形で支払ってるんですか?! (meti.go.jp)

紙による管理リスク

約束手形は紙で作られているもののため、人による管理が必要となってきます。

もし仮になくしてしまった場合、ある手続きを行わなければ支払いが行われません。

その手続きも裁判所を通して公示催告手続をしなければならず、非常に手間がかかります。

詳しくは法務省の 「手形・小切手をなくされた方へ」 をご覧ください。

参考サイト:法務省HP 手形・小切手をなくされた方へ

普段から丁寧に管理をしていても、震災や台風などやむを得ず紛失してしまうといったケースがあるため、紙での管理はリスクが大きいということです。

実際の企業の声

中小企業庁の「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書」 によると、様々な企業の意見が寄せられています。

出典: 中小企業庁 約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書

「やめたい」企業

報告書の中で、令和2年度に行われたアンケート調査の結果、受け取り側の約54%の企業が「約束手形をやめたい」と回答していると記載されていました。

理由としては「不渡りのリスクがある」ということ、「取立手数料・領収書の印紙代が負担」だということなどが挙げられています。

「不渡り」とは、約束手形を振り出した企業が期日までに資金が用意できず、支払いが行われないことです。

確かにどれだけ信頼がある企業が相手だとしても、「震災などが重なり資金が用意できない」というケースも考えられるため受け取り側としては不安ですよね……。

「やめたいがやめられない」企業

こちらは38%の企業が「やめたいがやめられない」と回答していました。

理由としては「振出側が手形による支払を希望している」であったり、「電⼦記録債権にしたいが振出側が利用していない」が挙げられています。

電子記録債権についてはまた後ほどご説明します!

合計約92%の企業が「約束手形をやめたい」と考えているという結果が報告されています。

非常に多いですね。

不渡りのリスクはもちろん、「紙である」ということが費用、管理といった面でかなりのリスクになることが窺えます。

それでは、こういったリスクを回避するためにはどうすればよいのでしょうか。

代替案としての「でんさい」

原則、現金での支払いを政府は推奨していますが、どうしても必要だという方のために、

「電子記録債権(以下、でんさい)」

というものが存在しています。

でんさいとは、「ネット上で管理する約束手形」のことです。

約束手形を使う際、管理リスクはもちろん、押印や郵送といった工数が必要となります。

しかし、ネット上で一元管理することによって、紛失や盗難といったリスクもなくなり、押印や郵送などの工数も削減することができます!

非常に便利なでんさいなのですが、振り出し側と受け取り側の双方が利用していなければいけないため、あまり普及していないというのが現状です。

理由としては

  • PC・でんさい等の操作が不安
  • 約束手形に比べて振出人の支払う料金が高額である

などが挙げられています。

(出典:約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書

こういった課題を解決するためには金融機関による取り組みはもちろん、中小事業者などのITリテラシーを高めるといった取り組みも必要となります。

もしでんさいについて興味があればぜひ「でんさいネット公式WEBサイト」をご覧ください!

参考サイト:でんさいネット公式WEBサイト

まとめ

いかがでしたでしょうか。

便利な一方で様々なリスクがある約束手形。

2026年には廃止という周知もされているため、今のうちから「取引の現金化の徹底」や「でんさいの利用」について検討してみてはいかがでしょうか?

もし検討されるようでしたら、私たちもご対応いたしますのでいつでもお気軽にご相談ください!

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