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法人版ふるさと納税の計算方法とは?控除の仕組み・メリット・注意点を分かりやすく解説

2026/10/29

法人版ふるさと納税は、正式には地方創生応援税制といい、企業が対象となる地方公共団体の地方創生事業へ寄附をした場合に利用できる制度です。

結論からいうと、要件を満たす寄附では、通常の損金算入による税負担の軽減に加え、法人住民税・法人事業税・法人税の税額控除を受けられます。控除上限に余裕がある場合、税負担の軽減効果は寄附額の最大約9割となり、実質的な企業負担は約1割まで抑えられる可能性があります。

ただし、「必ず9割が戻る」制度ではありません。会社の利益や税額、寄附先、控除上限などで結果が変わるため、計算の仕組みを押さえることが大切です。

法人版ふるさと納税とは

法人版ふるさと納税は、国の認定を受けた地方公共団体の事業に対して企業が寄附を行う制度です。個人向けのふるさと納税とは異なり、返礼品を受け取る制度ではありません。

寄附先から補助金、入札・許認可での便宜、通常より有利な条件での取引など、寄附の対価となる経済的利益を受けることは認められていません。

主な要件として、1回当たり10万円以上の寄附であること、原則として本社が所在する地方公共団体への寄附ではないこと、対象となる認定事業への寄附であることなどが必要です。

計算の全体像:軽減効果は「損金算入+税額控除」

法人版ふるさと納税の税負担軽減は、次の2段階で考えると分かりやすいです。

  1. 寄附額の全額を損金に算入する
  2. 一定額を法人住民税・法人事業税・法人税から直接差し引く

損金算入とは、法人税を計算する際に収益から費用として差し引くことです。地方公共団体への寄附は、原則として支出額の全額を損金に算入できます。

そのうえで、法人版ふるさと納税の対象寄附であれば、損金算入とは別に税額控除を受けられます。税額控除とは、計算後の税額から直接差し引く仕組みです。

区分寄附額に対する目安主な上限
損金算入による軽減実効税率に応じた額。一般に約3割が目安です。地方公共団体への寄附は原則として全額損金算入です。
法人住民税の税額控除寄附額の4割法人住民税の法人税割額の20%
法人事業税の税額控除寄附額の2割法人事業税額の20%
法人税の税額控除法人住民税で控除しきれない部分を補う仕組み寄附額の1割、かつ法人税額の5%

税額控除は合計で最大6割です。これに損金算入による軽減効果を合わせると、寄附額の最大約9割の軽減効果となります。

計算方法を100万円の寄附で確認

ここでは、対象事業に100万円を寄附し、各税目の控除上限にも十分な余裕があるケースを例にします。実効税率は便宜上、約30%と仮定します。

内容計算軽減額の目安
損金算入による軽減100万円×約30%約30万円
法人住民税の税額控除100万円×40%40万円
法人事業税の税額控除100万円×20%20万円
法人税の税額控除法人住民税で控除しきれない場合に適用この例では0円
合計の軽減額約30万円+40万円+20万円約90万円
実質負担額100万円-約90万円約10万円

このケースでは、100万円を寄附しても、税負担の軽減を考慮した実質負担は約10万円です。

ただし、実際の軽減額は法人の所得、適用税率、所在地、法人住民税・法人事業税・法人税の額、他の税額控除の利用状況などで異なります。赤字で法人税等が発生しない場合や、各税目の控除上限に達している場合は、最大限の控除を受けられないことがあります。

税額控除の計算で特に確認したい上限

寄附額から単純に6割を控除できるわけではなく、税目ごとに上限があります。寄附前に、次の3点を確認しましょう。

  • 法人住民税:寄附額の4割が基本ですが、法人住民税の法人税割額の20%が上限です。
  • 法人事業税:寄附額の2割が基本ですが、法人事業税額の20%が上限です。
  • 法人税:法人住民税で4割まで控除できなかった残額を補う仕組みですが、寄附額の1割かつ法人税額の5%が上限です。青色申告書を提出する法人が対象となります。

つまり、寄附額を決める際は「寄附したい金額」だけでなく、直近の申告書から法人住民税の法人税割額、法人事業税額、法人税額を確認することが重要です。

メリット

税負担を抑えながら地域に貢献できます

一定の条件を満たせば、通常の寄附より大きな税制上の優遇を受けられます。地域課題の解決に資金を出しながら、会社の税負担を計画的に考えられる点が大きな特徴です。

事業目的に合う地域プロジェクトを選べます

子育て、観光、環境、防災、地域産業、デジタル化など、さまざまな対象事業があります。自社の事業分野やサステナビリティ方針と親和性の高いプロジェクトを選べます。

企業の社会的な取組を伝えやすくなります

地域貢献や地方創生への取組は、取引先、従業員、採用候補者などに対する企業姿勢の発信にもつながります。自治体との継続的な関係づくりのきっかけになることもあります。

デメリット・注意点

利益や税額が少ないと、控除を使い切れない場合があります

最大約9割の軽減効果は、各税目の控除上限に余裕がある場合の目安です。赤字決算や税額が少ない会社では、税額控除の一部を使えず、実質負担が大きくなる可能性があります。

返礼品はなく、対価を受けることもできません

個人向けふるさと納税のような返礼品はありません。また、寄附の見返りとして補助金や取引上の優遇を受けることもできません。純粋に地域貢献と関係構築を目的として検討する必要があります。

寄附先・対象事業を事前に確認する必要があります

すべての自治体への寄附が対象になるわけではありません。寄附前に、自治体へ対象事業であること、受入方法、寄附のタイミング、必要書類を確認しましょう。

申告時の書類管理が必要です

税制優遇を受けるには、自治体から交付される受領証などを保存し、法人税申告・地方税申告で必要な手続きを行う必要があります。経理担当者や税理士と、寄附前から申告までの流れを共有しておくと安心です。

寄附から申告までの流れ

  1. 自社の本社所在地、寄附予定額、直近の税額を確認します。
  2. 国のポータルサイトや自治体への問い合わせで、対象となる認定事業を確認します。
  3. 自治体と寄附額、使途、支払方法、寄附時期を調整します。
  4. 寄附金を支払い、自治体から受領証などを受け取ります。
  5. 法人税、法人住民税、法人事業税の申告で損金算入と税額控除の手続きを行います。

まとめ

法人版ふるさと納税では、対象事業への寄附について、全額損金算入に加えて最大6割の税額控除を受けられます。各上限を満たす場合、寄附額の最大約9割の税負担軽減が見込まれます。

一方で、控除額は会社の税額によって左右されます。まずは直近の申告書で法人税額、法人住民税の法人税割額、法人事業税額を確認し、寄附予定先の自治体と対象事業・必要書類を確認してください。実際の寄附額を決める前に、税理士へ個別試算を依頼する方法が確実です。

参考資料

記事監修者

佐野 元洋

かなえ経営株式会社 代表取締役
焔(ほむら)綜合会計事務所 所長
税理士・ファイナンシャルプランナー(CFP)
奈良県中小企業家同友会所属 会内役職:副代表理事

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