都度贈与とは?祖父母が孫の学費を非課税で支払うための基本と注意点
「祖父母から孫の学費を出してあげたいけれど、贈与税がかかるのでは」と心配になる方は少なくありません。
結論からいうと、祖父母が孫の教育に通常必要な学費を、必要なタイミングで支払う場合は、贈与税がかからない取扱いがあります。一般に、このような方法は都度贈与と呼ばれます。ただし、数年分をまとめて渡して預金させる方法とは区別して考える必要があります。
都度贈与とは
都度贈与とは、入学金や授業料などの教育費が必要になるたびに、その費用に充てるためのお金を渡す、または祖父母が学校等へ支払う方法を指す一般的な呼び方です。特別な制度名ではありません。
国税庁は、扶養義務者から教育費として受けた財産のうち、通常必要と認められるものは贈与税の対象にならないとしています。祖父母は孫の直系血族であり、扶養義務者に含まれます。
ここでいう教育費には、義務教育に限らず、学費、教材費、文具費など、教育上通常必要と認められる費用が含まれます。
祖父母が孫の学費を非課税で支払うための3つの条件
1.教育費として通常必要な範囲であること
非課税となるのは、孫の教育のために通常必要と認められる範囲です。金額の一律の上限はありません。孫に必要な教育内容、祖父母の資力、家庭の状況などを踏まえ、社会通念上妥当かどうかで判断されます。
たとえば、学校の入学金・授業料、教科書代、学校指定の教材費などは、教育費として説明しやすい支出です。一方で、高額な物品や教育との関係が薄い支出まで当然に非課税になるわけではありません。
2.必要になる都度、教育費に充てること
最も重要なのは、学費として必要な都度、直接その費用に充てることです。翌年度以降の学費まで含めた大きな金額を一括で孫に渡し、口座に預けたままにする方法は、都度贈与とはいえません。
教育費名目で受け取ったお金でも、預貯金になった部分や、株式・不動産の購入など教育費以外に使われた部分は、贈与税の対象となる可能性があります。
3.支払った事実を説明できるようにすること
都度贈与のために必ず特別な契約書が必要とされているわけではありません。ただし、後から学費として支払ったことを説明できるよう、資料は残しておくと安心です。
- 学校から届く学費の案内、請求書
- 入学許可書、在学証明書など
- 学校への振込控え、クレジットカードの利用明細
- 祖父母から孫または保護者へ送金した記録
- 教材費などの領収書
おすすめの支払方法
実務上は、祖父母が学校の指定口座へ直接振り込む方法が、教育費のための支払いであることを最も説明しやすい方法です。振込名義や振込控えと、学校からの請求書を一緒に保管しましょう。
学校への直接振込が難しい場合は、請求額に合わせて必要な金額だけを孫本人または保護者に送金し、速やかに学費へ充てる方法も考えられます。この場合は、送金記録と実際の支払記録を対応させて保管することが大切です。
| 方法 | 考え方 | 記録として残したいもの |
|---|---|---|
| 祖父母が学校へ直接支払う | 教育費への使用目的が明確です。 | 請求書、振込控え、学校名が分かる資料 |
| 必要額を孫・保護者へ送金する | 必要な都度、学費へ充てることが重要です。 | 送金記録、請求書、学費の支払控え |
| 将来分も含めて多額を一括送金する | 未使用分が預貯金になると、非課税扱いが難しくなります。 | 原則として都度贈与には向きません。 |
「年間110万円以下なら大丈夫」とは別の話です
贈与税には、暦年課税の場合、1年間に受けた贈与の合計から110万円の基礎控除を差し引く仕組みがあります。しかし、教育費の都度贈与は、年間110万円の枠を使う制度ではありません。
教育費として通常必要な金額を必要な都度支払う場合は、110万円を超える学費であっても、直ちに贈与税がかかるという考え方にはなりません。反対に、学費とは関係なく現金を渡す場合は、年間110万円以下かどうかを含め、通常の贈与税のルールを確認する必要があります。
また、「毎年100万円を10年間渡す」など、将来にわたる定額の給付をあらかじめ約束している場合は、定期金に関する贈与として扱われる可能性があります。教育費の都度贈与として行うなら、将来分を一括・定額で約束するのではなく、その時点で必要となった学費に対応して支払うほうが分かりやすいでしょう。
教育資金の一括贈与制度との違い
以前は、祖父母などから教育資金を一括で贈与し、金融機関を通じて手続をすることで、一定額まで贈与税を非課税とする制度がありました。
ただし、この教育資金の一括贈与に関する非課税制度は、国税庁の案内上、適用対象となる贈与等の期限が2026年3月31日です。2026年10月21日現在、新たにこの制度を利用して学費資金を一括で渡す方法ではなく、必要な学費を都度支払う方法を基本に検討する必要があります。
都度贈与は、金融機関との教育資金管理契約を利用する一括贈与制度とは異なり、教育費が発生するたびに支払う考え方です。
迷いやすいケース
私立学校や大学の学費も対象になりますか
教育費は義務教育費に限られません。そのため、私立学校や大学の学費であっても、孫の教育上通常必要な費用として、個別の事情に応じて非課税となり得ます。金額や教育内容、家計・資力なども含めて社会通念上適当な範囲かを確認しましょう。
塾代や留学費用はどう考えますか
教育との関連性や必要性が明確であれば、教育費に当たり得ます。ただし、費用の内容や金額によって判断が分かれ得るため、高額な海外留学費用、海外の学校の費用、多額の習い事費用などは、支払前に税理士または税務署へ個別に確認すると安心です。
祖父母から親へ渡し、親が学費を払ってもよいですか
お金の流れが複雑になるほど、誰に対する贈与なのか、何に使われたのかを説明しにくくなります。可能であれば祖父母から学校へ直接支払う、または学費の請求額に合わせて送金する方法がおすすめです。
まとめ
- 都度贈与は、教育費が必要になるたびに祖父母が支払う方法を指す一般的な呼び方です。
- 祖父母から孫への教育費は、通常必要な範囲で、必要な都度直接教育費に充てるなら、贈与税がかからない取扱いがあります。
- 数年分の学費をまとめて渡して預金させる方法は、都度贈与とは別に考える必要があります。
- 学校への直接振込を基本にし、請求書・振込控え・領収書などを保管しましょう。
- 高額な留学費用や教育との関係が判断しにくい支出は、支払前に専門家へ相談すると安心です。
参考資料
- 国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」
扶養義務者から受ける通常必要な教育費と、必要な都度直接充てることの考え方を確認できます。 - 国税庁「生活費又は教育費の全般に関するQ&A」
教育費の範囲や、数年分を一括で受け取った場合の取扱いを確認できます。 - 国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
年間110万円の基礎控除や、毎年定額で贈与する場合の注意点を確認できます。 - 国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
教育資金の一括贈与に関する非課税制度の適用期限を確認できます。
関連サービス
税理士変更関連記事
-
2026/11/05税理士変更都度贈与とは?祖父母が孫の学費を非課税で支払うための基本と注意点
「祖父母から孫の学費を出してあげたいけれど、贈与税がかかるのでは」と心配になる方は少なくありません。...
-
2026/11/04税理士変更令和9年4月1日から飲食料品の消費税が1%に?対象の商品名を一覧で解説
「スーパーで買う食品は全部1%になるの?」「お弁当やお酒はどうなる?」と気になる方も多いのではないで...
-
2026/10/29税理士変更法人版ふるさと納税の計算方法とは?控除の仕組み・メリット・注意点を分かりやすく解説
法人版ふるさと納税は、正式には地方創生応援税制といい、企業が対象となる地方公共団体の地方創生事業へ寄...
