驚きのニュースが飛び込んできました。サッカーに興味のある方もない方も何があったんだ!?と思われますよね。
⑴ニュース記事(スポーツ報知より)
サッカーのJリーグに加盟する複数クラブが、国税局から申告漏れを指摘されていたことが9日、スポーツ報知の取材で分かった。今年の春頃からの税務調査で、外国人選手の報酬に課される所得税や住民税が契約実態に見合わないケースが複数あったことが判明。事態を重く見たJリーグはJ1~3の全60クラブに対し、適切な納税を行うよう通達を出した。修正申告となった場合、クラブ経営に影響を及ぼす規模となる可能性がある。
というものです。
①支払報酬と源泉所得税
プロサッカー選手に対してチームから支払われる対価は、サラリーマンのように給与としてではなく、支払報酬という扱いになります。
そしてその支払われる報酬に対しては、源泉徴収が必要となります。
源泉徴収が必要な報酬・料金等には以下のようなものがあります。
②原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
③弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
④社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
⑤プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
⑥映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
⑦ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
⑧プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
⑨広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
源泉徴収税額(サッカー選手)
① 居住者の場合
〇100万円以下の金額
報酬の額×10.21%
〇100万円を超える金額
報酬の額のうち100万円を超える部分×20.42%
例えば、1回の報酬額300万円のケース
100万円×10.21%+200万円×20.42%=510,500円
の源泉徴収が必要となります。
② 非居住者の場合
報酬の額×20.42%
●非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人を言います。
⑷今回の問題点
①そもそも非居住者ではない!
複数年契約をする選手が増えたことが背景にあります。単年契約の場合はまだしも、複数年契約をするということは、1年以上日本に居住する前提になるため、非居住者に該当しなるのです。
②非居住者に該当しないとどうなるのか!?
非居住者に該当する場合は、先述のように20.42%の源泉徴収がされて終了となっていました。
しかし、非居住者に該当しないということは、私たちと同じく居住者になるため、報酬などの収入のある人は確定申告が必要となります。
そして、多くの外国人選手は1億円プレーヤーとなるため20.42%の源泉徴収では足りません。
例えば、年俸1億3,000万円の選手がいて、必要経費や控除で3,000万円あるとします。
そうすると1億円に対して所得税が課されるわけです。しかしその場合の税率は45%となり、さらに10%の住民税も課税されますので、合計約5,000万円の税額が課されるわけです。
源泉徴収が、約2,600万円されていたとしても、差額2,400万円と加算税・延滞税が課されることになります。
⑸まとめ
上記のようなことが、外国人選手を抱えるほとんどのチームで起こっていたということです。
個人に負担させるとなると外国人選手との間で大きなトラブルになるでしょうし、チームが負担するとなるとその負担分はまた個人の所得となりますので、どのように解決していかれるのか注視したいと思います。