今回は「相続税や贈与税」についてみていきます!
昨年末に出された令和4年度の税制改正大綱で改正項目ではなく、
今後の検討項目として生前贈与分を相続財産と一体化することについて示されていました。
今後の改正の行方を探るために、示された検討事項を見ていきましょう!
高齢世代の貯蓄と「老々相続」
「第4回税制調査会資料」によると、
「2014年における年代別の金融資産残高の内、全体の約6割を60歳以上が保有している」とのことで、
高齢世代の貯蓄額が高い傾向にあります!
また日本人の平均寿命が延び、死亡者も相続人も高齢者という「老老相続」が増えており、結果的に若年世代への資産移転が進みにくくなっていることがうかがえます。
連年贈与による税負担軽減
一方、若年世代が相続人になるまでの期間が長いことを利用し、本来ならば相続税よりも税負担水準が高いはずの贈与税を、暦年単位で計算し、タイミングを見計らって生前贈与を行うことで、税負担を抑えた資産移転が可能となっています。
「第4回税制調査会資料」に15年間連年贈与をした場合の税負担が、生前贈与をしなかった場合に比べて2275万円減少する計算例が紹介されているので是非ご覧ください。
資産移転の時期の選択に中立的な税制
政府は、このような生前贈与を活用することで、適切な税負担がなく資産移転が行われることへの懸念を示しています。
「資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築等について」という資料によると、「生前贈与をしてもしなくても最終的な税の負担が変わらないような税制をつくる」ことを目指しており、これを実現するには相続税と贈与税を一体的にとらえて課税する必要があります!
諸外国の精度を参考に
このような制度を構築するために、アメリカ、ドイツ、フランスの税制を参考にしていると表明しています。
参考までに、各国の贈与税の概要をまとめておきました!
国名 | 生前贈与税の概要 |
アメリカ | 一生涯の累積贈与額 |
ドイツ | 相続前10年以内の累積贈与額 |
フランス | 相続前15年以内の累積贈与額 |
日本 | (暦年課税)相続前3年以内の贈与 (相続時精算課税)選択後の累積贈与額 |
非課税措置の見直し
なお、相続税と贈与税の一体化のほか、経済対策の一環で、非課税措置が設けられました!
少し例を紹介しておきます!
①教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
非課税限度額・・・1,500万円
適用期限…令和5年3月31日
②住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
非課税限度額…1,000万円
適用期限…令和12月31日
まとめ
いかがでしたか?
今後も税金の在り方が様々に変化していくことが予想されます。
少子高齢社会が進む中で、高齢者や若年者問わず活躍できる社会が実現されていくといいですね!
今回の詳しい内容については、
内閣府公開の「第4回税制調査会資料」をご覧ください!