企業の収益性を図る財務数値 | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

ブログ

企業の収益性を図る財務数値

企業の収益性を図る財務数値

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

⑴総資産経常利益率とは?

総資産経常利益率とは、企業の総資産に対する経常利益の割合を示す財務指標です。

経常利益とは、企業が本来の営業活動から得た利益に加えて、営業外収益や営業外費用を加減算したものを指します。具体的な営業外収益としては、保険金収入や助成金などがあります。一方、営業外費用には、支払利息や固定資産の除却損などがあります。

総資産経常利益率は、企業がどの程度効率的に資産を活用して利益を上げているかを示す指標として利用されます。高い総資産経常利益率は、企業がより少ない投資でより多くの利益を生み出していることを示し、投資家や銀行などの債権者にとって魅力的な企業であると見なされることがあります。

要するに投資に対してどれだけのリターンを得られているかの目安となります。

ただし、総資産経常利益率は企業の業種や規模によって異なるため、比較する際には同業他社や過去の自社のデータと比較することが重要です。

⑵総資産経常利益率の活用

総資産経常利益率は、企業の資産活用の効率性を評価するための指標であり、以下のような活用法があります。

①業績評価

総資産経常利益率は、企業の業績を評価するための重要な指標の1つです。企業の経常利益を総資産で割ったものであり、企業の総資産をどの程度効率的に活用して利益を生み出しているかを示します。このため、総資産経常利益率が高いほど、企業の業績が良好であると見なされます。

②業界比較

総資産経常利益率は、同業他社との比較にも活用できます。業界全体の平均値と比較することで、企業の業績が業界平均に比べてどの程度優れているかを把握できます。

③投資判断

総資産経常利益率は、企業の投資魅力を判断するための指標の1つとしても利用されます。総資産経常利益率が高い企業は、投資家にとって魅力的な企業であると見なされることがあります。また、総資産経常利益率が低い企業は、資産の効率的な活用が必要であることを示し、経営改善の必要性があると考えられます。

⑶売上高経常利益率とは?

売上高経常利益率とは、売上高に対する経常利益の割合を示し、企業の収益性を計る尺度です。経常利益は企業本来の営業活動から得た営業利益に、財務活動における損益を加味したものであるため、この比率が高い場合、資産の売却損益などを除いた通常の経営活動における企業の収益力が高いと考えることができます。

京セラ創業者の稲盛和夫氏は、常々10%は残しなさいと説かれていました。

10%はなかなか高いハードルですが、中小企業としては、5%は目指したいところです。

⑷まとめ

2つの指標についてお話ししました。

1つは総投資額に対してどれだけのリターンを生み出せるか、もう1つは売り上げに対してどれだけの事業活動としての利益を残せるか問う視点です。

両方の観点から、評価される企業を目指しましょう。

この記事をシェアする
トップへ戻る