最近よく耳にするようになったリスキリングについてお話します。
(1)リスキリングとは?
リスキリングとは、英語で「Reskilling」であり、スキルを付け直すこと、学び直すことと表現されます。
リスキリングという言葉が注目されるようになったのは、2020年のダボス会議で『リスキリング革命(Reskilling Revolution)』が発表されたことがきっかけでした。
『リスキリング革命』は、第4次産業革命に伴う技術の変化に対応した新たなスキルを獲得するために、2030年までに10億人により良い教育、スキル、仕事を提供するというイニシアチブです。
(2)スキルアップ、リカレントとの違い
「スキルアップは、今持っているスキルを引き上げることで、リスキリングは、今持っているスキルを磨き続けながら、プラスαの新しいスキルを身につけることです。
「リカレント(循環・回帰の意味)教育」という言葉は、「生涯学習」とも言い換えられ、個人を主体とし、人生を豊かにする学習行為を指します。
リカレント教育は、企業と教育機関を行き来しながら、業務に必要なスキルを身につけていくものです。多くの場合、現場の業務を離れ、社会人大学などに通います。
個人主体の「リカレント教育」に対し、企業主導であり、仕事において価値を出し続けるためのスキルや知識の習得、そのための学び直しが「リスキリング」です。業務に際して、実践・実用的なものであり、特に現在ではDXやAi 活用などのデジタル関連のリスキリングのニーズが高まっています。
(3)企業が推進するメリット
①人材不足に対応できる
デジタル対応できる人材を採用しようと思ってもなかなか思い通りに採用できないこともあります。内部の社員にリスキリングを行い、必要スキルを身につけてもらうことは双方にとってメリットがあるといえます。
②エンゲージメントの向上
リスキリングの推進により、従業員にキャリア形成のサポートをすることは、従業員エンゲージメントの向上(会社に対する愛着や貢献の意思を深めること)につながります。
③自立型人材を育成できる
従業員の中にも自分で新しい新しいスキルを獲得しようという風土が生まれ、自発的に考え行動する自立型人材が増えることにつながります。
④社内業務に精通した人材を活用できる
内部社員の場合は、既存事業にも精通しているため、新しく身につけた知識やスキルをすぐに活用できます。新たに採用した外部人材の場合は、社内の仕事を把握し、慣れるまでに時間がかかることがほとんどです。
(4)リスキリング導入時の注意点
なぜ必要なのかをリスキリングに取り組む社員だけではなく、周りの社員の理解も必要です。取り組む社員が取り組みやすい環境を整備することが重要です。
また、取り組む人のモチベーションアップのためのインセンティブを設けることも必要です。また就業時間内に研修を受講できるようにするなどの配慮も必要となります。
(5)助成金の活用
人材開発支援助成金の中に、事業展開等リスキリング支援コースが創設され、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成などに取り組む場合にこの助成金が使えます。
●支給対象
①助成対象となる訓練時間が10時間以上
②OFF-JTであること
③職務関連する訓練であって一定の訓練であること
などの要件があります。
●助成額
・中小企業の場合 訓練費係る経費の75% 1人1時間960円
・限度額は、10時間以上100時間未満で30万円
100時間以上200時間未満で40万円
200時間以上 で50万円
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001019757.pdf
(6)まとめ
企業にとっては人材難の時代にあって、社内人材の活用は必須であります。また永続的に発展していくためには、新たな付加価値を生み出し提供していくことが必要となります。
これを機に、リスキリングに取り組んでみませんか!?