フリーランスに関する新しい法律がスタート | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

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フリーランスに関する新しい法律がスタート

フリーランスに関する新しい法律がスタート

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

この法律は、フリーランスの⽅が安⼼して働ける環境を整備するため、①フリーランスの⽅と企業などの発注事業者の間の取引の適正化と②フリーランスの⽅の就業環境の整備を図ることを⽬的としています。

⑴フリーランスの定義

本ガイドラインにおける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者。

⑵他の法律との適用関係

①独占禁止法

独占禁止法は、取引の発注者が事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、事業者とフリーランス全般との取引に適用されます。

②下請法

下請法は、取引の発注者が資本金1000万円超の法人の事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、一定の事業者とフリーランス全般との取引に適用されます。

③その他

これらの法律の適用に加えて、フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けていると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用されます。

⑶適用対象

発注事業者からフリーランスへの「業務委託」(事業者間取引)について適用されます。

一般消費者からの葉中については、適用の対象ではありません。

フリーランスとは、業務委託の相⼿⽅である事業者で、従業員を使⽤しないもの

発注事業者とは、フリーランスに業務委託する事業者で、従業員を使⽤するもの。

⑷新しい法律の内容

①書⾯等による取引条件の明⽰

業務委託をした場合、書⾯等により、直ちに、次の取引条件を明⽰すること

「業務の内容」「報酬の額」「⽀払期⽇」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした⽇」「給付を受領/役務提供を受ける⽇」「給付を受領/役務提供を受ける場所」「(検査を⾏う場合)検査完了⽇」「(現⾦以外の⽅法で⽀払う場合)報酬の⽀払⽅法に関する必要事項」

②酬⽀払期⽇の設定・期⽇内の⽀払

発注した物品等を受け取った⽇から数えて60⽇以内のできる限り早い⽇に報酬⽀払期⽇を設定し、期⽇内に報酬を⽀払うこと

③禁止行為

フリーランスに対し、1か⽉以上の業務委託をした場合、次の7つの⾏為をしてはならない

●受領拒否 ●報酬の減額 ●返品 ●買いたたき ●購⼊・利⽤強制●不当な経済上の利益の提供要請 ●不当な給付内容の変更・やり直し

④募集情報の的確表⽰

広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、

• 虚偽の表⽰や誤解を与える表⽰をしてはならないこと

• 内容を正確かつ最新のものに保たなければならないこと

⑤育児介護等と業務の両⽴に対する配慮

6か⽉以上の業務委託について、フリーランスが育児や介護などと業務を両⽴できるよう、フリーランスの申出に応じて必要な配慮をしなければならないこと

⑥ハラスメント対策に係る体制整備

フリーランスに対するハラスメント⾏為に関し、次の措置を講じること

1.ハラスメントを⾏ってはならない旨の⽅針の明確化、⽅針の周知・啓発、2.相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、3.ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 など

⑦中途解除等の事前予告・理由開⽰

6か⽉以上の業務委託を中途解除したり、更新しないこととしたりする場合は、

・原則として30⽇前までに予告しなければならないこと

・予告の⽇から解除⽇までにフリーランスから理由の開⽰の請求があった場合には理由の開⽰を⾏わなければならないこと

⑸その他

①フリーランスに業務委託をする事業者で従業員を使⽤していない場合は、上記⑷①の書⾯等による取引条件の明⽰だけが適用されます。

②フリーランスに業務委託をする事業者で従業員を使⽤している場合には、上記⑷①②④⑥が適用されます。

③フリーランスに業務委託をする事業者で従業員を使⽤している場合に、一定期間以上業務を委託する場合には、

 1ヶ月以上は⑷③が追加されます。

 6ヶ月以上は、⑷⑤⑦が追加され、すなわちすべての適用があります。

⑹まとめ

われわれ発注する事業者側が、上記のことを遵守する必要がありますので、よく勉強しておきましょう!

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