新型コロナウイルス感染症拡大の影響に、燃料価格高騰や円高に端を発した物価高が重なり、国内の中小企業にとって厳しい経済状況が続いています。コロナ融資の返済も本格化した今、自社にどの程度の体力が残っているのか、数値で把握できる経営指標をご紹介します。
ウィズコロナ時代を生き抜く経営基盤を整えるには、 ①収益力を高め、 ②膨らんだ負債を減①収益力を高め、 ②膨らんだ負債を減らすらす視点が不可欠です。そのための現状把握が簡単にできる指標として、①増収増収(減収減収)率)率と②借入金月商倍率②借入金月商倍率があります。
増収(減収)率
増収(減収)率増収(減収)率=(当期売上高÷前期売上高=(当期売上高÷前期売上高--1)×100%
前期と比較して売上がどの程度増加(減少)したかを示す割合です。 直近2年はご承知のとおりコロナ禍により企業業績が落ち込んだ時期ですので、比較対象は前年ではなく、 2019年の売上高がお勧めです(表1は、 2021年の四半期ごとの売上高を2019年同期と比較し、業種別にまとめたものです)。
コロナ禍で実施された補助金制度の一部も30%以上の売上減を支給対象としており、 「マイナス30%」は状況の深刻さを示す一つの目安ラインとなります。
借入金月商倍率
借入金月商倍率=借入金÷月商(売上高)
借入金月商倍率借入金月商倍率は、借入金の残高が月商の何ヶ月分になるのかを示しています。 コロナ対応で実施されたゼロゼロ融資は、多くの企業で据置期間が終了し、元本の返済が始まっています。 返済能力を知る上でも、きちんと把握しておきたい指標です。
実際の数値を確認すると、業種によって差が見られます(表2)が、一般的には3~4倍までに抑えた状態が適正といわれています。
増収率と借入金月商倍率の両方が赤信号となっている場合は要注意です。 借換えなどの金融機関との折衝においても、数値に裏付けられた丁寧な経営計画が求められます。 気が付いたら遅かった…とならないよう、月ごと、四半期ごとなど、定期的にご確認ください。