1年の終わりが近づく頃というのは税理士業界としては、来年度の税制改正のベースとなる税制改正大綱の時期が近づいたことでもあります。
それは、例年12月10日前後に政府税制調査会が発表されるからなのです。
⑴スケジュール
12月中旬 税制改正大綱発表
1月下旬 閣議決定
2~3月 国会に法案提出
3月中 法案成立
4月1日 法施行(適用日を遡る場合も)
⑵注目ポイント
① 相続税・贈与税の一体化
現行:相続税と贈与税は、一税法二税目となっていて、贈与税は相続税を補完する税として存在しています。もし、相続税だけが存在していると、死んだら税金がかかるので、生きている間に贈与しよう!ということになります。それを防ぐために贈与税が存在しています。
しかし暦年贈与の場合、年間110万円の非課税枠があります。
これを使って、人数×年数を費やすことで将来の相続税を抑えることができます。
例えば、10人の子・孫に10年間110万円の贈与を繰り返すと、1億1,000万円の財産を非課税で移転することができます。
ただし、相続が発生した日から3年以内に相続人に贈与した財産は相続財産として持ち戻されます。
改正案:現状の抜け道をふさぐために、議論されているのが、現状亡くなる前3年以内の財産を相続財産に加算していますが、諸外国にならいこの期間を10年ないし15年に引き延ばす案が有力となっています。
② 退職金への増税
現行:退職金を受けとる場合には、退職金から一定の控除がされます。
20年以下の年数 勤続年数×40万円
20年超の年数 800万円+(勤続年数-20)×70万円
さらにその控除後の金額を2分の1した所得に所得税・住民税が課税されます。
これが、「多様な働き方」を選択し、雇用の流動化を阻害しているという意見があり、「勤続年数によって控除金額に差を設けるべきではない」と言われています。
改正案:内容は、わかりませんが 勤続年数×40万円一律 となるか下手をすると40万円自体の金額も引き下げられるかもしれません。
③教育・結婚・育児一時金 一括贈与の非課税特例 廃止!?
現行: 親・祖父母から子・孫へ教育・結婚・育児に充てるための資金を一括で1,000万円までを上限として非課税で贈与することができます。
改正案:利用件数が減少していることや親の資産運用に使われるケースが多いことから、制度自体の見直し、廃止の方向です。
⑶まとめ
この他にもいろいろな論点で議論されていますが、コロナ禍も収まりつつある中で、コロナ対策のために大盤振る舞いした財源を取り戻していくために、増税の項目が増えてくるのではないかと予想されます。