今、話題となっている103万円の壁についてお話ししたいと思います。
⑴なぜ103万円なのか?
そもそもなぜ103万円なのでしょうか?
それは給与所得控除の金額55万円と基礎控除の金額48万円の合計額からきています。
①給与所得控除とは、サラリーマンの経費にあたる部分で個人事業主に経費が認められているようにサラリーマンも給与収入に応じて一定金額の控除額が定められています。
その給与所得控除の最低金額が55万円です。
②基礎控除とは、納税者本人に誰にでも認められている控除額です。(ただし、年収2,695万円以下の者に限られます。)
従って給与の他に収入がない場合、103万円までは所得税はかかりません。
また配偶者や他の扶養親族もこの範囲内であれば、他の方の扶養に入れます。
⑵何が問題なのか?
今回何が問題となっているのかですが、立場ごとに見てみましょう。
①ご主人の扶養に入っている主婦の方
例えば、時給1,000円でパートをしていた場合に、
これまでは月85時間 1日6時間で月14日働けましたが、10月からは時給が50円アップしていますので、1,050円となっています。したがって月81時間 1日6時間で13日しか働けなくなり、1日分働ける日が減少します。
②親の扶養に入っている大学生の方
①の場合と同じく、勤務日数が減少します。
年末にかけて11月12月は、調整のためアルバイトできる日が減少します。
生活費をアルバイト代で賄っている場合など厳しい生活を強いられることになります。
③扶養している親御さん
大学生の親は、63万円の扶養控除があります。
例えば年収800万円の場合、扶養から外れると約19万円の所得税・住民税の負担が増えることになります。
⑶野党などの主張
一部野党などの主張は、この103万円の壁を178万円に引き上げようとする案が出ています。
基礎控除を引き上げるとすべての納税者に適用され、高所得者ほど受ける恩恵が大きくなることが問題視されています。
またそのことによる財源は7〜8兆円と言われており、現実的ではないと思われます。
⑷まとめ
学生の扶養が外れることが最大の問題になるのではないでしょうか。このため、所得に応じ段階的に控除を設けるなどするのが現実的な対応ではないかと思われます。