コロナ融資の返済が本格的に始まり、資金繰りが厳しいと感じている経営者の方も多いのではないでしょうか?
今回は、財務改善の手順についてお話しします。
⑴財務改善の順番
財務改善の手順は、一般的には以下の順に行います。
①固定費の削減
②変動費の削減
③売上高のアップ
④運転資金差の改善
⑵固定費の削減
固定費は着目すべき勘定科目の内訳明細書を作成し、削減可能性がある項目をピックアップし、削減可能かどうかを検討します。内訳明細書の項目は、経営者が課題と解決策をイメージし易い分け方でデータ作成します。
次のような視点でコストダウンの可能性を検討します。
①コストカットできる内容はないか?
➡例:飲食代、付き合いで入っている団体の会費、定期購読の雑誌など
②コストを抑えることができる内容はないか?
➡例:光熱費、消耗品、コピーのカウンタ料など
③コストのコントロールで余分な増加を抑制できないか?
➡例:不急の残業代、パートアルバイトのシフト調整による人件費の削減など
④代替手段でコストを削減できないか?
➡例:購入先の見直し、内製化など
⑶変動費の削減
変動費は専門的なものが多いため、現場担当者にも内容を確認しながら内訳
明細書を作成します。
①材料費・仕入
相手先別・品目別の内訳明細を作成し、次の視点でコストダウンを検討します。
・ロットの変更でコストダウンできないか?
・単価交渉でコストダウンできないか?
・納期猶予:納期にゆとりを持たせてコストダウンできないか?
・品質猶予:過剰品質を排除してコストダウンできないか?
・歩留り改善:材料ロスをなくしてコストダウンできないか?
・代替品を選択してコストダウンできないか?
②商品仕入
相手先別・品目別の内訳明細書を作成し、次の視点でコストダウンを検討します。
・回転率改善や不良在庫比率低減でコストダウンできないか?
・返品条件付きと買い取りと比較してどちらが得か?
・売れ筋仕入比率を高めて粗利がとれないか?
・特定メーカーに集中してリベートを確保できないか?
・特売のタイミング改善で粗利がとれないか?
③外注費
相手先別・品目別の内訳明細書を作成し、以下の視点でコストダウンを検討してみます。
・ロットの変更でコストダウンできないか?
・単価交渉でコストダウンできないか?
・納期猶予:納期にゆとりを持たせてコストダウンできないか?
・品質猶予:過剰品質を排除してコストダウンできないか?
・内製化:生産性向上で内製化できないか?
・投資による内製化の方が利益が残らないか?
⑷売上高のアップ
①売上高:BtoB 事業者向け
得意先別・販売商品別の内訳明細書を作成し、次の視点で売上拡大策を検討します。
・売上が伸びている企業に力を入れて取引拡大を図れないか?
・競合企業を排してシェア拡大ができないか?
・未取引の商品分野の販売ができないか?
・未取引の担当者への販売ができないか?
・新規顧客開拓による売上拡大ができないか?
②売上高:BtoC 消費者向け
売上を構成する指標を上げて、その指標ごとに改善策を検討してみます。
指標は業種・業態により異なるので、売上を論理的に分解し、採取可能な指標で考察します。
例:客数、客単価、来店回数、リピート率、購買率などです。
③粗利のとれる売上の検討
商品分野別や顧客別に売上と粗利益を分析してみます。
粗利益の良い商品や顧客が見つかれば、その分野を更に拡販できないかを検討します。
⑸運転資金差の改善
売掛債権の内訳、買入債務の内訳を整理して分析し、運転資金差の解消ができないかを検討します。
①売掛金の回収サイトを早める
②滞留債権の回収を実行する
③支払いサイトを延長する
特に資金繰りが苦しい企業の場合、「日繰り表」の資金の薄くなるタイミングの前後の入出金を見て、交渉対象先を検討してみましょう。
⑹まとめ
資金繰りが厳しい場合には、手順通りにこだわる必要はありません。
同時並行的に実行することが重要です。
できることからすべて実行していきましょう!