月次決算 | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

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月次決算

月次決算

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

突然ですが、みなさんの会社では月次決算をされていますか?

一応試算表は、遅れてでも出しているけど、決算と言われると・・・

という会社が多いのではないでしょうか?

今日は、月次決算の必要性とポイントについてお話ししていきます。

(1)月次決算の必要性

月次決算とは、一言で言うと「1ヶ月ごとに行う決算業務」のこととです。

毎月の会計を締める際に、決算期とほぼ同様の基準の会計処理を行います。

一見、毎月の負担が多く大変そうと思われますが、毎月同じように処理するルーティーンが出来上がるので、それほど負担感はありません。それどころか本決算時には処理項目が少なく決算をスムーズに早く終えることができます。

月次決算である程度正確な数字を把握することで、経営実態をタイムラグなく把握でき、的確な経営判断をすることができるようになります。

(2)月次決算のスケジュール

月次決算の流れは、本決算とほぼ同じだと言いましたが、本決算は1ヶ月前後かけて行うからと言って同じスケジュールで行っていたのでは、月次決算の意味を成しません。

月次決算では、「スピード」と「ある程度の正確性」が必要です。

ある程度というのは、本決算で求められる1円まできっちり合わせるレベルは求められておらず、あくまでも自社の経営判断をするための財務状態を把握できれば問題ないのです。

大切なのはむしろ「スピード」です。月末締めの場合だと、10日~15日までの間に月次決算を締めて、経営陣に報告するスピード感が必要です。

(3)月次決算のポイント

①売上の把握

発生ベース(請求ベース)での売上の計上が必要です。

②仕入・外注費の把握

発生ベースでの仕入・外注費の計上が必要です。売上に対応する仕入・外注費で請求書が未着のものがあれば、仕入先から急ぎ取り寄せるか金額の確認だけでも行い、計上します。

③棚卸の計上

月次ベースでの棚卸の把握は必須です。実地棚卸までは求めませんが、帳簿上の在庫計上は必ず行います。

④減価償却費の計上

月次で減価償却費を計上します。新たな固定資産の取得があった場合には、固定資産台帳に登録し、減価償却費に反映します。

⑤消費税の計上

税抜経理の場合は問題ありませんが、税込経理の場合には、月次で消費税を計算し仮計上しておきましょう。

⑥賞与引当金の計上

税務上は、賞与引当金の計上は認められません。

しかし、夏冬に賞与の予算を取っている場合には、それぞれの支払予定額の1/6ずつを計上することで、月次の数字がより正確に把握できます。

⑦仮勘定の整理

仮払金や仮受金などの仮勘定がある場合には、できる限り中身を把握し、適当な科目に振り替えておきましょう。

⑧経過勘定の計上

前払費用や未払費用などに該当する項目がある場合には、計上基準を設定し、計上しておきましょう。

(4)まとめ

月次決算を早期に完了するためには、社内外の協力が不可欠です。

社内では

・営業部や発注担当などとの連携

・社員の立替経費精算などの期日遵守

社外では

・仕入先や外注先からの請求書発行を早期化してもらう

必要があります。

それでも目まぐるしく変わる経営環境に対応し、迅速な経営判断をするためには月次決算は必須なのです。

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