年収130万円の壁対策 | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

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年収130万円の壁対策

年収130万円の壁対策

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

以前、年収の壁(2023年2月4日)というお話をしましたが、その年収の壁対策を政府が正式に発表しました。

今回は、その内容についてみていきましょう。

⑴年収の壁の概要

まずはおさらいです。

どんな壁があるのか見ていきます。

①103万円

一般的に「扶養の範囲内で働く」というのはこの金額を指している場合が多いです。

配偶者に関しては、これを超えると配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わり、所得に応じて段階的に控除が少なくなります。

また企業によっては、扶養手当の基準としている金額となります。

②106万円

被保険者の総数が企業規模で常時101人以上の企業に勤務している場合、年収106万円を超えると、社会保険に加入しなければなりません。これは1週間に20時間以上働き、毎月の給与が8.8万円以上(8.8万円×12ヵ月=105.6万円)という計算になります。

つまり、パート勤務であっても常勤者101名以上の企業の場合、年収106万円以上となると社会保険に入らないといけなくなります。どこで働くかも重要なポイントになります。

③130万円

年収130万円を超えると、勤務先や働き方によらず社会保険の扶養から外れます。この場合、勤務先の社会保険に加入するか、自身で国民健康保険及び国民年金に加入する必要があります。国民健康保険料は収入に応じて変動し、お住まいの市区町村によって計算方法が変わります。

最近では、多少所得税はかかっても社旗保険の扶養ははずれないようにと年収を130万円におさえる人が多いといわれています。

⑵年収の壁・支援強化パッケージの内容

①103万円の壁対策

企業に配偶者手当の見直しを働きかけ

②106万円の壁対策

手取り年収を減らさない取り組み

・社会保険適用促進手当を支給(これを社会保険料の算定対象外とする)

・賃上げによる基本給の増額

・所定労働時間の延長

これらを実施した企業に対して、労働者1人当たり最大50万円の助成金を支給

●手当等支給メニュー

●労働時間延長メニュー

③130万円の壁対策

収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、

引き続き被扶養者認定が可能となる仕組みができます。

つまり、年収が130万円を超えても収入増が連続2年までの一時的なものであれば、事業主の証明により、被扶養者に認定されるということになります。

この制度は、この10月1日からスタートされます。

⑶まとめ

10月から最低賃金引上げが行われますが、単価が上がるということは労働時間の上限が少なくなることを意味しています。

もともと主婦パートの方などは年末にかけてシフト調整などで労働時間を調整し、年収を抑える傾向にあるため、これから年末にかけて人手不足感が加速することを抑制する意味でも急造でこの制度を準備した感があります。

ぜひ、抜本的な制度改革を期待したいものです。

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