みなし解散 大丈夫ですか? | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

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みなし解散 大丈夫ですか?

みなし解散 大丈夫ですか?

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

法務局から突然、あなたの会社はしばらく登記していないので、職権で解散しますという通知が来ることがあります。

⑴会社等の変更登記義務について

1.1 商業登記制度の目的

商業登記制度は、会社の商号や所在地などの重要な情報を公示し、社会に対して信頼性を確保するために存在しています。この制度により、会社の信用が守られるとともに、取引の安全性と円滑な経済活動が促進されます。商業登記制度の目的は、商業登記法第1条に定められています。

1.2 変更登記の義務

会社が設立された際に登録された事項に変更が生じた場合、会社法第915条第1項および一般法人法第303条に基づき、その変更内容を2週間以内に登記する義務があります。この登記は、本店または主たる事務所の所在地で行う必要があります。

1.3 登記義務違反への罰則

会社法および一般法人法に基づく登記を怠った場合、その会社の代表者は裁判所から過料を科される可能性があります。具体的には、会社法第976条第1号および一般法人法第342条第1号により、100万円以下の過料が課される場合があります。

⑵休眠会社・休眠一般法人の整理作業について

2.1 整理作業の概要

毎年、全国の法務局では、休眠会社および休眠一般法人に対して整理作業を行っています。この作業の一環として、法務大臣による官報公告が行われ、該当する休眠会社および一般法人には通知書が送付されます。公告がなされてから2か月以内に必要な登記手続きを行わない場合、実際に事業を継続していたとしても「みなし解散」として登記がされます。この一連の作業を「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」と呼びます。

2.2 休眠会社を放置することの問題点

休眠会社を放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります:

事業を廃止した会社が登記上存在し続けることで、登記制度の信頼が損なわれる可能性がある。

休眠会社が売買され、犯罪の手段として悪用される恐れがある。

これらの問題を防ぐために、平成26年度以降、毎年休眠会社の整理作業が行われています。

⑶休眠会社・休眠一般法人とは

3.1休眠会社

休眠会社とは、最後の登記から12年以上が経過した株式会社を指します。この状態になると、実質的な活動を行っていないものとみなされます。ただし、特例有限会社はこの定義に含まれません。会社法第472条に基づき、休眠会社に対しては法的な整理が進められます。

3.2 休眠一般法人

休眠一般法人は、最後の登記から5年以上が経過した一般社団法人や一般財団法人を指します。公益社団法人および公益財団法人も含まれ、これらも休眠状態と認定されると同様の整理対象となります。一般法人法第149条および第203条に基づいています。

3.3 留意点

休眠認定の基準は、登記事項の証明や代表者の印鑑証明書の交付請求があっても、登記自体が行われなければ影響しません。この点を注意する必要があります。

⑷休眠会社・休眠一般法人の整理作業の概要

4.1 令和6年度の整理作業スケジュール

令和6年度の整理作業では、10月10日(木)を基準として、休眠会社・休眠一般法人に対して、12月10日(火)までに次のいずれかの手続きを行う必要があります。

役員変更などの必要な登記手続き

「まだ事業を廃止していない」旨の届出

もし、これらの手続きを行わない場合、12月11日(水)には解散とみなされ、登記官が職権で解散の登記を行います。

4.2 法務局への問い合わせ

手続きや状況に関して不明点がある場合は、最寄りの法務局に問い合わせることが推奨されます。法務局の所在地や連絡先については、法務局のホームページ内「管轄のご案内」で確認できます。

⑸公告と通知の流れ

5.1 法務大臣による公告

毎年、法務大臣は官報にて公告を行います。この公告により、対象の休眠会社や休眠一般法人が通知され、必要な手続きを行わないと解散がみなされることが周知されます。

5.2 登記所からの通知

法務大臣による公告後、対象となる会社や法人には登記所から通知が送付されます。仮に通知が届かない場合でも、公告があった後2か月以内に手続きをしなければ「みなし解散」として進行します。この点についても注意が必要です。

⑹みなし解散を防ぐための手続き

6.1 「まだ事業を廃止していない」旨の届出

休眠状態であると通知された会社・法人が、実際には事業を継続している場合は、「まだ事業を廃止していない」旨を登記所に届け出る必要があります。この届出により、解散がみなされることを防ぐことができます。

6.2 必要な登記の申請

また、役員変更や事業内容の更新など必要な登記手続きを期限内に行うことで、休眠会社・休眠法人として解散させられるのを防ぐことができます。登記手続きが行われれば、会社や法人は引き続き存続し、事業を継続することが認められます。

⑺まとめ

通知が来た段階では、まだみなし解散とはなっていませんので慌てず、放置せずきちんとした手続きを取りましょう!

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