いくらの売上高が必要? ~損益分岐点~ | かなえ経営株式会社(税理士法人トレイス)

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いくらの売上高が必要? ~損益分岐点~

いくらの売上高が必要? ~損益分岐点~

筆者:税理士 佐野 元洋
"中小企業の経営参謀"

あなたの会社はいくらの売上が必要か把握していますか?

今日の話は、この質問に的確に答えられない経営者の方にお読みいただきたいものです。

今回は、損益分岐点についてお話していきます。

⑴損益分岐点とは?

収益と費用が相互に等しくなるポイントを指します。つまり、損益分岐点では収益と費用がトントンの状態であり、利益は出ない状態です。

損益分岐点は主に経営や投資の分析に使用されます。事業やプロジェクトの収益性を評価するために、損益分岐点を計算することがあります。損益分岐点を超える収益を得ることができれば、事業やプロジェクトは利益を生み出せるわけです。

⑵損益分岐点の求め方

損益分岐点は、以下の計算式で求められます。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1– 変動費)

ここで固定費と変動費の説明が必要になってきます。

●固定費は、販売量や生産量の変化に関係なく発生する費用であり、事業の基本的な経費や固定的な負担です。

具体的な固定費の例としては、以下のようなものがあります:

賃貸料: 事業用のオフィスや店舗を借りた時に支払う家賃や賃料。

給与: 従業員への給与や給与手当などの人件費。

光熱費: 電気代、ガス代、水道代などの公共料金。

保険料: 事業のリスクをカバーするための保険料。

レンタル料: 機械や設備のレンタル費用。

固定資産の減価償却費: 購入した建物や機械装置などの固定資産の価値が時間とともに減少するために計上される費用。

●変動費は、生産量や売上高の変化に伴って増減する費用です。

以下は一般的な変動費の例です:

原材料費: 製品の生産に使用される原材料の調達費用。

販売手数料: 製品やサービスの販売に関わる手数料など。

運送費: 製品の輸送や配送にかかる費用。

変動人件費: 製品の生産やサービスの提供に関連する労務費用。歩合給など。

⑶業種別の損益分岐点の求め方

業種別に損益分岐点の求め方を見ていきましょう。

●卸売業・小売業・飲食業・宿泊業など

これらの業種は、先の算式の(1-変動費率)は、粗利率と置きかえてもらって結構です。

すなわち、

損益分岐点=固定費÷粗利率

で求められます。

●製造業・建設業

製造業・建設業の変動費は、材料費+外注費で概ねよいかと思います。

これらの売上に占める割合を変動費率としてください。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1- 変動費率)

で求められます。

●運送業

運送業の変動費は、庸車費+燃料費+高速代で概ねよいかと思います。

これらの売上に占める割合を変動費率としてください。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1- 変動費率)

で求められます。

●不動産業、飲食以外のサービス業など

実質、売上高=粗利の業種となります。

損益分岐点 = 固定費

で求められます。

⑷益分岐点の活用方法

仮に、損益分岐点が年間1,200万円となった場合、月間では100万円の売上が必要になります。

●月間25日営業の飲食店の場合 1日4万円の売上が必要となります。

この店が客単価4,000円のお店だとすると、1日10人のお客さんに来てもらう必要があります。

もし、現状1日32,000円の売上しかないとすると、1日平均8人のお客さんが来ているという計算なので、1日にあとお客さんを2人呼ぶ必要があります。

あと2人に来てもらうためにどうすればよいか?

もしくは、客単価を5,000円に上げると1日8人のままでもよいので、客単価をどうすれば5,000円に上げられるか?

と考えることで、具体的な行動目標(アクションプラン)を立てることができます。

⑸まとめ

損益分岐点は、計算することが目的ではありません。

上記のように、1日あたりや1人あたりなどの自分たちが体感できる数字にまで分解し落とし込んで、行動を促し、業績改善や財務改善につなげることが目的とならなければ意味がありません。

ぜひ損益分岐点を把握し、業績改善につなげてください。

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