こんにちは!
皆さんは「バレンタインショック」をご存じですか?
バレンタインショックとは、2019年「節税効果がある」とされ中小企業向けに販売されていた「定期保険」が、国税庁による税務上の取り扱いの見直しが入ったことで販売できなくなり、保険会社が大きな打撃を食らったというニュースのことです。
こちらの「節税保険」は当時ブームのようになっており、バレンタインショックによって業界全体に大きな激震が走りました。
そんな中、2022年3月「ホワイトデーショック」と呼ばれるニュースが話題になりました。
いったい何があったのか、詳しく紐解いていきましょう!
ホワイトデーショック
令和3年6月25日に所得税基本通達の一部が改正されました。
2019年2月のバレンタインショックと言われた「経営者向けの定期保険の取り扱いの改正」から2年経った2021年3月中旬に、国税庁が生命保険各社に通告を行いました。
その通告とは、低解約型逓増定期保険の契約者を法人から個人へと切り替え、所得税を抑えるという手法(通称名義変更プラン)の撤廃を伝える内容です。
さきのバレンタインショックと対比してホワイトデーショックと言われるこの改正に対する正式な見解として通達の改正がなされました。
生命保険の名義変更プラン
これまで改正通達前までの税制での取り扱いは、生命保険法人契約を法人から個人へ契約者(名義)変更を行った場合、その契約の権利の評価額は当該契約の解約返戻金とされていました。
そのため変更時点での評価額(解約返戻金の額)によりその契約が新たな契約者へ変更される。
新しい契約者はその解約返戻金の額で買いとる、あるいは課税(所得税)されるなどの扱いとなっていました。
その後、その契約を引きついだ新しい契約者には保険料支払い義務が生じ、
以降、その契約の一切の権利義務を持つことになります。
これに対し今回の改正内容は
「改正前は法人契約から個人契約に名義変更する際の保険契約の評価額を一律解約返戻金額で評価しているが、これを解約返戻金が資産計上額の70%未満の場合は資産計上額で評価する」
ということになります。
仕訳例
事例で見ていきましょう。(実際の商品に基づくものではなく、単純化しております)
年払1,000万円の低解約返戻型の保険で60%資産計上、1~4年目までの解約返戻率が5% 5年目以降の解約返戻率が80%とします。
『法人仕訳』
1~4年目
前払保険料 保険料 | 600万円 400万円 | 普通預金 | 1,000万円 |
4年目終了時の貸借対照表
『資産の部』
前払保険料 2,400万円
これを5年目に名義変更します。
『法人仕訳』《改正前》
普通預金 雑損失 | 200万円 2,200万円 | 前払保険料 | 2,400万円 |
『個人側』
5年目時点で4,000万円×80%=3,200万円の保険契約が、以前の取り扱いだと200万円で購入できたのです。
これを解約すれば、(3,200-200-50)×1/2の一時所得として課税されることになります。
『法人仕訳』《改正後》
普通預金 | 2,400万円 | 前払保険料 | 2,400万円 |
となります。
これで、保険を用いた節税というものは実質できなくなったわけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今まで保険会社から謳われていた「節税保険」が実質なくなりました。
このコロナ禍においては余計な節税策に知恵を絞るよりも、しっかり利益を出すことの方が重要ですね。