いろいろな業界で2025年問題ということが言われていますが、中小企業の事業承継においても深刻な問題が存在しています。
1.中小企業の数
日本の企業数は、約367万社あります。そのうち上場企業数は、わずか3,831社です。
つまり日本の企業の99.9%は中小規模企業なのです。
また日本全体の従業者数は、4,794万人で、そのうち3,361万人は中小企業で働いています。
全体の70%以上に相当します。
2.中小企業・小規模事業者の経営者の年齢
下の図のように、中小企業の経営者年齢の山が、20年間で47歳から66歳へ移動しています。
このままいくと、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となります。
3.後継者不在
下の図をごらんください。
全体の経営者のうち3分の2の245万人が、70歳以上となりそのうち半分の127万人が後継者不在、または未定だというのです。
さらにその半数の60万社の企業が黒字経営をしているのです。
彼らが、後継者不在のまま亡くなったり、体力の限界を感じて引退を決意した時には、事業を黒字のまま廃業することになるのです。
つまり、全体の70%を占める労働者のうち、約650万人の雇用が失われる可能性があるというのです。GDPにすると22兆円が喪失する可能性があるということです。
4.後継者探し
後継者の候補は、
- 子や孫をはじめとする親族
- 社内の誰か資質のある人材
- 外部人材の招へい
- M&A(他者へ売却)
が概ねの選択肢となります。
上記の後継者不在と言われるケースは、ほとんど①及び②は、検討したが、子供たちは上場企業で働いていて継ぐ気がない、社員にはふさわしい人材がいないというケースでしょう。
③は、自社の仕事や社員の状況を把握してもらうために、かなりの準備期間が必要だと思われます。
最低でも3年から5年は見ておかないといけません。
④は最近増加傾向にあるものの、まだまだ抵抗感のある経営者が多いと思われます。
2018年には、M&Aの件数は3,850件となっており、年々増加傾向にあると言えます。
「第三者への売却は恥ずべき事」という意識が根強くあります。
そうではなく、むしろ「第三者が会社の価値を高く評価してくれて買ってくれるのだから、事業成功の証だ」という意識の変容が必要です。
まとめ
真剣に事業承継を早い段階で考える責任が経営者にはあります。
経営者が自分の一時の感情やプライドに流されるのではなく、そこで働く従業員の人生を真剣に考え、自社の商品やサービスを買って下さる取引先や顧客への永続的な商品等の提供をしようと思うならば、仕入先等の経営まで幅広く自社に関わる人々の事業や人生を考える必要があります。
事業承継について、真剣に考える2時間です。
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