法人の経営者はよく何か節税できる方法はないか!?
と聞いてきます。
節税は本当に必要なのでしょうか?
について考えていきます。
⑴実効税率
法人税の場合、法人税、法人県民税、法人市民税、法人事業税の税率の合計が、
約36.8%となります。これを事業税の税率109.59%で割り戻すと33.5%となります。
事業税は法人税の計算上、損金となりますので、その分を割り戻すことで実効税率を計算します。
所得に対して約3分の1ぐらいです。
⑵節税の効果
節税をした場合としなかった場合の効果について見ていきましょう。
法人の所得が2,000万円。500万円を節税のために経費を使ったとしましょう。
〇節税をした場合
法人の所得 2,000万円-500万円=1,500万円
法人税等 1,500万円×33%=495万円
〇節税しなかった場合
法人の所得 2,000万円
法人税等 2,000万円×33%=660万円
法人税等は、660万円-495万円=165万円
たしかに少なくなりました。
今度は、キャッシュを見てみましょう。
〇節税をした場合
キャッシュアウトした金額
経費500万円+法人税等495万円=995万円
〇節税しなかった場合
キャッシュアウトした金額
法人税等660万円
節税した場合995万円 > 節税しなかった場合660万円
確かに節税した方が、法人税等が少なくなって得したように感じますが、
キャッシュアウトした金額は節税した方が多くなっています。
つまり手元に残っているお金は少なくなっているのです。
⑶自己資本比率の観点
もう一方で自己資本比率の観点から見ていきます。
自己資本比率=純資産÷総資本(総資産)
で計算され、会社の体力や安全性を表します。
自己資本比率を高めるためには、総資産を圧縮するか純資産を増やすことです。
純資産を増やすためには、利益を積み上げるしかないのです。
この場合の利益は、税引後の当期純利益となります。
節税した場合の純資産の増加額は、1,500万円-495万円=1,005万円
節税しなかった場合の純資産の増加額は、2,000万円-660万円=1,340万円
と節税しなかった場合の方が、純資産は多く積み上がることになります。
自己資本比率は、50%以上あれば優良と言われています。
自己資本比率が50%を超えてくるまでは、節税は考えない方がよいでしょう。
⑷まとめ
遊休不動産を売却して突発的に利益が出た場合などを除き、毎期経常的に利益が出ている法人については、余計な経費を使うような節税は考えない方がよいのではないかと思います。
それよりもまずは、自己資本比率50%を目指しましょう!