年末調整の時期が近づくと、保険会社から生命保険料の控除証明書が送られて来ます。
ところで、毎年税金に関する法律が改正されているということはご存じでしょうか?
毎年、「税制改正大綱」というものを政府が作成し、それをもとに翌年度の税制が少しずつ変わっています。
そこで!
今回は、皆さんにとって身近な税金のお話、「年末調整」をテーマにお送りします!
- 年末調整って何?
- 今年何が変わったの?
- 年末調整手続きが電子化!?
1 年末調整って何?
「あぁ。あのお金が返ってくるやつでしょ?」
そういった認識のサラリーマンや従業員の方々多いと思います。
お金が返ってくるのはやはり嬉しいですよね!
しかし、年末調整とは「お金を従業員に返すこと」を指した言葉ではありません。
年末調整とは一言でいえば、「所得税を精算する制度」のことです。
といっても、所得税は毎月引かれているから結局何をしているのかこれだけではわかりづらいですよね。
厳密には毎月天引きされている所得税はあくまで「概算」で算出したものであり、
年末調整で改めて、従業員ごとの控除などを含めて所得税を精算しています。
そして、概算で天引きしていた分と、実際計算した年間の所得税額との差額が、概算が多ければ還付されることになります。逆に、概算で天引きしている方が少ない場合は、さらに徴収されることもあります。これは、扶養していた子供さんが、就職して扶養から外れた場合などが考えられます。
年末調整の際、各従業員によって異なる控除額などの計算は、ほぼ経理や総務の人が行っているため、年末調整期は大忙しです。
代わりに行ってくださっているのでとてもありがたいですね!
2 今年何が変わったの?
冒頭でも申し上げた通り、毎年税制は変化しています。
税制が変化すると、様々な人の税金を扱う年末調整にも影響が出てきます。
今年は何が変わったのでしょうか?
今年はなんと、
おおよそ8つの変化がありました!?
- 給与所得控除の改正
- 所得金額調整控除の新設
- 基礎控除の改正
- 申告書の新様式
- 扶養親族等の所得要件の改正
- ひとり親控除・寡婦(寡夫)控除の改正
- 源泉徴収簿の様式改正
- 年末調整手続きの電子化
以上8つです。
多いですね!?
今回は
- 給与所得控除の改正
- 所得金額調整控除の新設
- 申告書の新様式
- ひとり親控除・寡婦(寡夫)控除の改正
- 年末調整手続きの電子化
にフォーカスしてお話していきます。
①給与所得控除の改正
平成30年度税制改正により、給与所得控除額が改正され、原則一律10万円引き下げた上で、給与所得控除額の上限が圧縮され、195万円になりました。
②所得金額調整控除の新設
給与所得控除額の上限が195万円になったことを受け、給与所得控除額が10万円を超えて減少するサラリーマン(年収850万円超)については、以下のいずれかの条件に該当する場合、改正前より10万円程度の減少で抑えられるようにする「所得金額調整控除」が新設されました!
条件1 本人・同一生計配偶者・扶養親族のいずれかが特別障害者に該当
条件2 年齢23歳未満の扶養親族を有する
ただし、これを適用するためには、「所得金額調整控除申告書」を提出しなければなりません。
注意しておきましょう!
③申告書の新様式
「所得金額調整控除申告書」や「給与所得者の基礎控除申告書」は、国税庁が作成した様式では、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者等申告書兼所得金額調整控除申告書」として、「給与所得者の配偶者控除等申告書」と兼用する形で1枚にまとまられています!
詳しくは国税庁HPへ
④ひとり親控除・寡婦(寡夫)控除の改正
未婚のひとり親に配慮した「ひとり親控除」が新設されました!
現に未婚、または配偶者が生死不明など一定の人のうち、次の要件をすべて満たしている人が対象となります。
条件1 生計を一にする子を有する
条件2 本人の合計所得金額500万円以下
条件3 事実婚と認められる相手がいない
です。
また、これに伴って「寡婦(寡夫)控除」は「ひとり親に該当しない寡婦(寡夫)控除」として一部条件が見直されたうえ、改組されています。
⑤年末調整手続きの電子化
年末調整関係書類のうち、これまで扶養控除等申告書などは電子化を認められていましたが、今回の改正より、
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅借入金等特別控除に係る証明書等
も電子化が可能となりました!
3 年末調整手続きが電子化!?
今回の改正で一部書類が電子化することが可能となりました。
しかし、電子データとして申告書等の提供を受けるには、
予め所轄税務署長へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき電磁的方法による提供の承認申告書」を提出し、承認を受ける必要があります。
今年は、基礎控除や給与所得控除の金額が改定され、寡婦控除、ひとり親控除などが整備されるなど、用紙の変更も行われております。
早めに、準備をし、改正点の確認をしておきましょう!