10月1日からインボイス制度がスタートして、約1か月半。
早速いろいろな問題点や疑問点が出てきています。今回は、その事例をいくつかご紹介したいと思います。
⑴飲食店の領収書
10月以降飲食店を訪れた際に、領収書をもらうと以下のような領収書をかなりの頻度で見かけます。
手書きに限らず、大手チェーン店以外の飲食店の領収書の場合、上記のようなものが非常に多く見受けられます。
とりあえず、インボイス番号を記載しておけばいい……
そんな感じですね。
何が問題なの!?と思われた読者の方もいらっしゃるかもしれません。
上記のような領収書は、インボイス制度の要件を満たしていません。
小売店、飲食店、タクシー業者などには、適格簡易請求書が認められていますが、それでも下記の要件は必須の記載事項となります。
1. 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
2. 取引年月日
3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)
5. 税率ごとに区分した消費税額等または適用税率
つまり、上記の例でいくと1,2の記載はあるものの3,4,5の記載がありません。
これでは、インボイスの要件を満たしていないのです。
インボイスの要件を満たしていない領収書をもらったらどうなるかというと、国税庁は次のように言っています。
参考:国税庁ホームページ(一部改編)
買手である課税事業者は、交付を受けた適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に誤りがあったときは、売手である適格請求書発行事業者に対して修正した適格請求書又は適格簡易請求書の交付を求め、その交付を受けることにより、修正した適格請求書又は適格簡易請求書を保存する必要があります。
となっています。
つまり、正しい領収書の再発行をしてもらってくださいということです。
しかし、遠くで飲食したお店にわざわざ領収書の再発行で行くのも面倒ですよね。
ですから、領収書をもらったその場でインボイスの要件を満たしているか確認し、不足があればきちんと記載してもらうようにしましょう。
(ただお酒を飲んだ後にそんな対応するのは、ほぼほぼ無理でしょうね。)
⑵Amazonの納品書
ネットショップで買い物をすることも当たり前の時代です。
その中でもほとんどの方が、Amazonで商品を購入されたことがあるのではないでしょうか。
Amazonで買い物をした際に、商品と一緒に下記のような納品書が同梱されています。
この納品書を保存しておけばいいと考えている方が多いようです。
しかし、これは納品書でありインボイスの要件を全く満たしていません。
では、Amazonで買い物をした場合は、どうすればよいのでしょうか?
Amazonのページから「支払明細書」あるいは「領収書」をダウンロードする必要があります。
手順は、以下の通りです。
1. 画面右上のアカウントボタンを押す
2. 「注文履歴」画面から該当する商品を選択する
(見当たらない場合は、絞り込みボタンから注文日でフィルタリングで期間を変更します)
3. 注文情報欄から請求書をダウンロードを押し、パソコンにダウンロード
4.表示されたPDFを印刷し、保存
(令和6年1月1日以降は、このPDFを紙で出力せず、データのまま保存する必要があります)
⑶タイムズの領収書
タイムズの駐車場を利用される方も非常に多いと思います。
私も先日、タイムズの駐車場を利用した際に、領収書を取得したのですが、下記のような領収書でした。
印字を見る限り、インボイスの要件を満たしてない⁈ と思ったのですが、
よーく見てください!
下の紙にインボイス番号と適用税率を直接印字されているではありませんか!!
タイムズさん考えましたね。
というわけでタイムズの領収書は、インボイスの要件をバッチリ満たしていました。
⑷まとめ
インボイス制度は、始まったばかりでまだまだ取り扱いが不十分な店舗が多いようです。
しかし、要件を満たしていない領収書をもらって、消費税の仕入税額控除を受けられないのはもらった側なので、面倒でもきちんとした領収書をもらうように習慣づけましょう。