移動手段として利用するタクシー。インボイス制度がスタートすると、このタクシー代はどう処理 をするのでしょうか。Q&A 形式で確認します。
Q.
タクシーに乗車したときは、これまで領収 書を受け取り、これをもとに消費税の処理を 行っていました。インボイス制度スタート後、 このタクシー代についてどのように処理をす ればよいのでしょうか?弊社 は消費税の課税事業者で、一般課税により納付すべき消費税額を計算 しています。
A-1.タクシー代とインボイス
タクシー代は、原則として、インボイスの交付を受けなければ、仕入税額控除ができません。そのため、タクシー代の領収書を受け取った際に、インボイスかどうかの確認が必要となります。基本的には次の記載があるか確認します。
【記載事項】
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減対象である場合はその旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
ただしタクシー代については、記載事項のうち⑥の記載は不要で④の適用税率と⑤のいずれか一方の記載で足ります。
A-2. インボイスでなくても 控除可能な場合
免税事業者のタクシーに乗車したことで領収書 がインボイスに該当しなくとも、経過措置として、2023年10月1日から3年間は80%を、その後の3年間は50%を仕入税額とみなして控除ができます。この場合、 領収書(区分記載請求書等)と、通常の記載事項に加えて「80%控除対象」など一定の事項を記載した帳簿の保存が必要です。
また、たとえば次のケースはインボイス不要で、仕入税額控除ができます。
(1)一定規模以下の事業者の場合
一定規模以下※の事業者は2023年10月1日から6年間、税込み1万円未 満のタクシー代であれば 、通常の記載要件を満たした帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。
※基準期間(個人は前々年、法人は2 期前)の課税売上高1 億円以下、又は特定期間(個人は前々年1 〜6月の期間、法人は前期開始から6ヶ月間)の課税売上高 5千万円以下
⑵旅費規程等に基づく清算の場合
出張時に利用したタクシー代について、旅費規程等に基づき従業員等へ精算する場合は、 通常の記載事項に加えて「出張旅費等特例」など一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕 入税額控除ができます。
領収書の保存や帳簿の記載要件は、ケースにより異なります。ご注意ください。